Kishore Kumar Hits

THA BLUE HERB - 路上 lyrics

Artist: THA BLUE HERB

album: SELL OUR SOUL


俺に憑り付いているっていうカルマによると
俺は人違いで死ぬらしい
冗談じゃねえ。そのご指名自体が人違いだぜ。
俺がまだずっとガキの頃に聞いた話だ
俺の曾爺さん、いつも通らない道を歩いてて
崖崩れに待ち伏せされて死んだ
あれは人違いみたいなもんだって
近所の爺さんがよく話してた
俺の叔父さんは一字違いで
マウイストの活動家ってことで引っ張られ
もう8年連絡が無い
今は言わなくなったけど
親父は俺が外に出ようとすると
よくこう言ってた
決して目立つな
カルマにはくれぐれもみつかるな
人違いされるな、いいな、決して目立つな
爺さんと兄貴はお前と同じ長男だったんだ
靴紐を踏んづけて 前のめりになりながら
俺は表通りへ出て行ったんだ

情けも無く無常に 今日も日が暮れてく
西風に乗って寒さが運ばれてくる
カーテンをめくる
東に闇が ゆっくりと夕焼けを削る
昼が眠る
輪郭や顔色があいまいな
人目につかない商売が有利な世界だ
真っ黒い鳥たちが鳴きだす
快感と金が騒ぎ出す
朝の始まりだ
金貸を回って疲れ果てた親父が
離れない影を引きずるのを屋上から見た
運に恵まれない敗者
生きてるだけマシだって慰めには俺はもう飽きた
不公平な涙はまだガキだったころに乾いた
必死に抜け道を探した
隙間風と暮らす生活はもうまっぴら
相棒のラムと スキーの一派に入った
スキーは俺と同い年の18で
既に若くしてこの通りに立ちはじめ
元締めの娘をたぶらかして
今や4つの交差点の取引を支配してて
用心深く ずる賢い狐
元締めに忠実で 影で呼び捨て
ボディーガードを引き連れ
人生の勝負時がきたら待ったなしだ が口癖
俺はタイパウダーとブラウンシュガーを扱う
この時期のカトマンズは好き者が集まる
ドルや円をたくさん持ったお客さん
アンタは特別だから他の奴からは買うな

相棒のラムは信用できるやつだ
俺がこの街に引っ越してきた夜に出会った
奴のシャツは誕生日に俺がやったやつだ
俺のナイフは奴からもらったやつだ
薄っぺらい壁で貧しさを挟んだ
薄暗いアパートの廊下で一緒に育った
一本の光がひび割れたガラスから
それを見てよくラムは言った
カルマに勝つんだ
路上は回転する劇場だ
まるで同じ人間の繰り返しの映像だ
うまい話を探し 右に左に男が
同じ顔で キョロキョロうろつく旅行者
クラクションやスモッグや落伍者や売り言葉
気づかれずに逃げる毎日の足音
似たような時間 似たような早さで
いろんなしがらみに絡まってる
喉からからで通り過ぎてく
そびえるレンガの牢獄
狭い空をの呪われた地上から覗く
現実に戻す野良犬の声が届く
ひょっとして お前 逃げ出したくなったのか?
昨日の日本人は久しぶりのお人好しだ
シュガー グラム2000で喜んでうなずいた
5gで1万、スキーに渡すのが1000かける5gで5000 残り5000
スキーに借りた金が1000
次の仕入れ分が500かける4で2000
残った2000ルピーそこそこが俺の儲け
到底割に合わねえ、この5年
何万回ここを往復したと思ってる?
どれだけ有害な空気を吸ったと思ってる?
ドブネズミは俺を家族だと思ってる
もう地球はここだけとすら思ってる
道はひとつだけ残ってる
ラムは思いつめた顔をくずさずに計画を話し続けた
今日も路上を抜ける風は冷たい
スキーの金庫の金を盗めば...

路上には今日も
同業者や 客引きや 駆け引きや 乞食や 体重計りや
楽器売りや ガキや リッチな外人や
詐欺師や 海賊品がひっきりなしだ
唾や埃やゴミがつもったアスファルトは
じっと雨を待ってるかのようだ
このへんでアシを洗おうと思ってた男が
最後の仕事でパクラれるのを見たことがある
スキーの野郎は 明日から 旅行だ
ボディーガードも一緒だ
留守は奴の女、 盗み出したらまっすぐに国境だ
よう 明日の今ごろはインドに密入国だ
いいな 明日だぞ
明日?
そう 明日だ
第一その情報は確かか
間違いない
笑いながらスキーを真似ラムは言った
人生の勝負時がきたら待ったなしだ
巨大な車輪が 俺の迷いを乗せて 回りだした
確かに不吉な予感がした
ただ事実、チャンスは向こうからきた
俺は残ったパウダーを全て安くさばいた
寒さに間借りしてるような部屋に戻った
ここは8歳でガンジャを吸う弟や
親父に殴られ 蹴飛ばされたお袋が 一枚の毛布で眠る
この世の底だ
神様は等しく俺にも命をくれたが
それだけでそれ以外何もしてはくれない
ついに俺は究極の答えを見つけた
親父が叫び 壁に向かって狂ってた
世界はゲットーだ、絶望のベットだ
出口が入り口につながっている迷路だ
見えないカルマに殺される戦場だ
地図や歴史にも載らない捨て猫だ
路上 、最後のシャッターが閉まる音
娼婦がレストランの窓を覗き込み
客にもらった治らない風邪に咳き込む
ゴホッゴホッと 重く 路上

スキーを乗せたロイヤルネパールが
西に飛んでった
空港から奴の女を送り届けた
ルームミラー越し愛想笑ってる俺は
思わずネックレスや指輪に目を細めた
路上で儲けた3階建ての豪邸は
今日もバラ色の暖かさが灯っていた
俺はいつものように部屋に上がり込んでた
忠実な犬が裏切るとは誰も思ってない
金は ベットルームの金庫にある
ドルキャッシュ、スキー が数う分クリスタル
暗証番号はのん気にチャラスを吸ってやがる
目の前の女の誕生日の逆
帰り際にドアの鍵を頂いた
またすぐ来るからよと 小さく呟いた
街には夕闇が居座りだしたが
俺の道だけはまったく狭くも暗くもなしだ
残ったマッシュルームを全て金に替えた
ラムといつもの角で待ち合わせた
ネパール最後の夜 冷たい冬の雨が
路上からすべての生き物を追い立てた
飯はそれぞれの家に帰って食べた
痩せたお袋が冷めたダル 待ってた
今の苦しみは 前世の罪の為だ
そして来世の為だ そう目は語ってた
路上、 諦めきれない表情、笑わない妹
落ちない泥、弱者で満載の水が漏るボート
空腹の象徴、おー 路上

希望の扉をラムが開けてく
スキーの女は1階のラウンジで寝ている
2階へあがりベットルームの壁に埋めてる
金庫の前まで一気に息を止めて行く
ダイヤルをラムが4回まわす間
今神が俺たちを選んでいると感じた
最後の沈黙の後
ついに金庫は開いた
突然、なんだこの光は
振り返るとスキーの女がいた
女は声を出す
そして俺はナイフを出す
3秒女は悲鳴を撒き散らした
俺は左手で顔を抑えて喉元を刺した
我に返るまで五分を費やした
この部屋で生きているのは俺とラムの2人だ
血まみれのシャツを脱ぎ捨て
スキーのジャケットを借りた
スキーのジャガーでアップタウンを抜け出した
インド国境が近い ビールガンジ目指し
一路南、栄光のゴールは近い
ラムは言った
最後にあの通りを見たい
俺も同じことを思ってたとハンドルを左に
霧を吸って嘆きを吐く
路上、 両脇に一生閉じこめられた捕虜
俺は確かに聞いたんだ 誰かの寝言を
頼むから俺も連れてくれよ と
助手席のラムは振り返っていつまでも見てた
よぉラム 俺たちはこれからも人間だ
いつの間にかカトマンズは遠くに見えた
カルマはついに振り切ったかにみえた

ついについに振り切ったかにみえても
カルマ特別委員会は追いかけてくる
逃げたって隠れたって無駄だな
太陽と月だって奴らの味方だ
ついについに振り切ったかに見えても
カルマ特別委員会は追いかけてくる
逃げたって隠れたって無駄だな
太陽と月だって奴らの味方だ
ビムフェディ近くのケチな検問
警官の一人がジャガーとジャケットを見つめると
いきなりこう言った
(おめえ・・・スキーじゃねぇか)

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