華やいだ街に独り 時忘人は
くれない色に彩られた壁 背にして
行き交いし人など目もくれず 誰を待つ
古びた剣 右手に小さく祈り捧ぐ
長きに渡る戦も終わりを告げたというのに
彼等は何処にいる
未だ緑ひとつ生えぬ彼の地で戦い続けているのだろうか
僕は彼等を待つ
動いていた時が止まった 僕達は確かに其処にいた
風が凪いだ もう届かない 祈りは泡沫に消え逝くよう
聴こえていた声はもう無い 視えない障壁に絶えず遮られ
繋がっていた糸は絡まり 僕はただ動けず此処にいる
陽が沈み紅い月が 哀しげに浮かぶ
時に置き去られたまま 夜を繰り返して
共に支え合い 力合わせ戦い続けてきた
彼等は何処にいる
今も風の無い渇いた彼の地で 戦い続けているのだろうか
僕は彼等を待つ
戦ってきた記憶があった 背中預けてた仲間がいた
この街には僕だけがいる あの見慣れた顔は今何処に
失クシテタ 探シテタ
トテモ大切ナコトヲ
僕が此処にいる意味を
動ケナイ ソノ理由ヲ
僕ダケガ違ッテイル
ずっと逆らい続けてきた事
止まっていたずっと前から 何ひとつ聴こえなくなってた
左胸に手を押し当てる 僕の心臓は もう
動カナイ
動いていた時が止まった 同じように僕も止まってた
風が凪いだ もう届かない 涙無く声も無く泣いてた
握り締めた一振りの剣 此処がきっと僕の居場所だと
誰ひとり気付くことなく 時を忘れただ彼等を待つ
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