6月 雨降り
包み込んだ体温に目をつむる
ああ 見失っていた
遠ざかっていた
今日もまた
わたしが壊したものたちを
数え終える日は来ないでしょう
食べ残した罰が転結あたりで殴った
殴った
死んだ魚の目のフリは
いかにも得意なんです
なんて
ひどいね
ごめんね
声が 声が
堰を切ってわたしを鮮明に
色付けんだ 曝け出したって
そこにあなたがいるか保証ない
ねえ怖いな 怖いな
引き止めていたはずの感情
止まらなくなったならば もう
バイバイです
霞んでいっちゃうあなたに
やさしくありたいだけなの
薄めてしまったおもいに
やさしくなりたいだけなの
6月 遣らず雨
お構いなしね
帰らないでよ
あなたが愛した世界も
いつか壊れてしまうのよ
サナトリウム閑静 汚点際立つし
弱った 困った
貧相顔の身のフリは
いかにも不得手なんです
なんて うるさいね
ごめんね
声が 声が
喉を切ってわたしの全身 晒しだすんだ
隠したいんだって 奥のピュアな期待は疲れたよ
もう来ないで 来ないで
消えかかっていたはずの外傷
膿たまってきたならばもう
あのとき言いたかったのは
あの日言えずにいたのは
ずっととかそういうの抜きに
疑いも罪も忘れて
甘いコーヒーと苦いトースト
違和感が本物になっていく
声が 声が
苦し紛れ心に気づいて 行かないでよ
となりにいてよって 口に出すにはもう遅かった
ねえ怖いな 怖いな
むき出していたはずの反抗
できなくなったなら わたし もう
雨粒 弾いた音に
影だけ重ねて消したい
だめだと わかっていても
やわらかい顔をしていたい
あなたが気づかなくても
わたしがわたしになれなくても
何でもない
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