名前も無い山奥の河原で目を覚ました
人知れず泣きじゃくる私を見つけてくれたんだ
言葉も一切分からないような忌み子を
労わってくれて可愛がってくれて育ててくれた貴方に揺れる
幾年の月日が流れて
相思相愛を誓った
貴方の姿は病弱で
河の水も枯れ果てていた
気づいたの
私だけ姿があの日と変わってない
その夜 唐突に最期の日は来て
しわに埋もれた笑顔をきっかけに動かなくなった貴方を揺らす
不意に天声(てんせい)が聞こえて
催花雨(さいかう)と共に生を受け
老なんて概念も無くて
全ての思い出が後の悔やみだと
その瞬間 愛の軌跡が意思を以って
キスをしたんだ
幾千の月日が流れて
聞き慣れた声も遠くなって
貴方の残り香さえも連れ去ってゆく
朧月夜(おぼろづくよ)なんて
でもね 空を見上げると涙零れて
あの日々の幸せ思い出す
いつまでも貴方を愛してる
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