網戸越しの風で起きた
部屋はもう暗い
突っ伏して寝てた頬には袖の皺が付いてた
君に渡すはずだった言葉達が
藍色に溶けては紙に滲んでゆく
君がいないことを忘れようとするたびに
君を思い出すから
日毎に薄く、遠くなってゆく君に縋り付いても
焼けた手に痛みが残るだけ
君といても心はいつまでも痛いし
君がいなくても心は痛いし
止まったペンの先に溜まったインクが
色のついた涙に見えた
繋がるのは苦しいけど独りは辛いし
生きるのに疲れても死ぬのは怖いし
雲の影さえ、青空さえも
見るのが億劫になったのは全部
君の所為だよ
今頃になって点け忘れた灯りに気付く
もう疾うに慣れた目
過去へと紙を捲る風
また一つ風が抜けた
紙を飛ばして散らかした
描いた景色が床に散る
眺めていても何一つ戻りはしない
自分の生き方に憂いが募るだけ
描いた景色もこの心も全部
この部屋と同じ藍に染まってくんだ
散れば尊し、吹けば美し
そんな綺麗事なんかで君を割り切れるものか
わからないまま
君を見たまま
どこで何ができたのだろうか
大事に思うのと大事にするのは
同じ様で違っていたんだ
♪
六月、出逢った日の雨音を描いた
七月、曇天の遊園地を描いた
八月、氷の無い温いコーラを
九月、雲の影、川の光る飛沫を
君といても心はいつまでも痛いし
君がいなくても心は痛いし
きっと失くしてしまうのだから
消えて無くならない様に君を描いてるんだよ
これでいいだなんてさ、思ってないんだよ
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