朝をこぼした木組みの隙間
風の抜け道 春色の空
君の寝言がつぶやくすべてで
今日が始まるみたいな
蜘蛛の巣張った戸棚を開けて
カビ生えかけのライ麦のパン
かばんに詰めてどこかへ行こうか
君の知らない街
道行くだけで台詞もなければ
撮り直しもないワンシーン
どのカメラにもこぼれた世界に
台本も監督も何もない
ただの居場所のひとつもない
それがボクの映画か
失ったものなんて数えなくていいよ
ボクら理由無しに生まれたノンタイトル
何も気にしないで泣きじゃくっていいよ
誰も君の声なんて聞いちゃいないさ
♪
たまらず石を投げた湖面に
君は笑っておどけてみせる
例えば怪しい色した実を口にしても
誰も怒らないでしょ?
瓦礫の花を紡いだボートで
君とふたりの逃避行
ボクらを祝うケーキはないけど
ああ こんな果物ナイフで
そんな盗んだブーケも
君を飾れるんだなあ
エンディングは期待通りなんてあるわけないさ
泣いた2分ちょっと ゴミ捨て場のタイトル
明日灰になって吹き飛ばされようと
誰か泣いてくれるなんて思っちゃいないよ
ねえ どこか遠くへ逃げようよ
ここじゃないどこか遠くへ
もう広角のレンズにだって
映らないどこか遠くへ
そして最後に寝る前に
鳴りやまぬ銃の中で
君の両目に映りこんだ
それだけでいいなあ
♪
君は泣かないで 泣かないでいいよ
終わり2分前のエンドロールにタイトル
それは誰一人も覚えていないような
きっと在り来たりだった物語
失ったものなんて数えなくていいよ
ボクは理由無しに生まれたノンタイトル
何も気にしないで泣きじゃくっていいよ
誰もボクのことなんて知りやしない
これは君とボクだけの
名もなきタイトル
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