びっくりする程 ちっぽけな
カバン一つで5月の雨の日
僕は東京の街におりた
心細くは なかったよ
少し年上のルームメイトと
その彼女と 僕で
暮らしていたから
まだ彼女がいない頃は
まよなかに大きなヴォリュームで
Doobie のライブをよくきいたね
そして彼女がやってきて
まるで二人両親のように
夜遅い 僕を 待っていたっけ
彼女はデザイナーをめざし
彼は心優しいエンジニア
そして僕は誰かのために
歌い 生きていくことを決めた
僕もあれから
二回目の引っ越しをして
何だかんだとつらいことも
たくさんあるけれど
そんな自分を
一番助けてくれるのは
あの三人で過ごした
楽しい思い出なんだ
♪
一年と少し経ったあと
新しい いそうろうが来たと
言われて少し淋しくなったけど
そいつは大きな耳と目と
長いヒゲのかわいいトラネコ
ほっとした僕に彼が言った
「あの家 売りに出してたんだ
もうすぐ買いてがきまるらしい
だから近いうちに遊びにおいで」
少し胸が 苦しい
さよなら 僕の
一番はじめの東京
三人分の思い出を
つめた宝箱
僕ら 変わらないよ
ビアガーデンに行く約束も
まだはたしてないからどうか
安心しておいて
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