ー人を出し抜きたいと思ったことが、おありですか。
至極、有り触れた野望でしょう。
ー人の所有物を奪おうと思ったことも、おありですね。
それも、良くある野望でしょう。
♪
ーか弱き婦女子を犯そうと思ったことが、おありですか。
別に、不思議ではありませんね。
ー憎き者を殺そうと思ったことも、おありですね。
誰しも、一度は思うでしょう。
如何に清く生きたとて、
その情動は不可避のもの。
抗い様のない"原感情"に跪け。
さあ、その心の内。洗い浚いを以ては、
我が渇きを癒さん、糧と成り果てよー!
...私だけが知り得る、その秘めたる全てが、
新たなる痕を産み出す苗床となれ。
♪
ーほら、貴方のことは、全部、理解って差し上げますから。
如何に、醜い思いでも。
ーほら、貴方のことを、誰も、共感ってくれはしないのですから。
如何に、それを求めても。
ーほら、私の前では、誰も、判明ってしまうのですから。
如何に、隠し遂せても。
ーほら、私が全て、それを、赦免って差し上げますから。
如何に、醜い思いでも。
激しく、黒く、惨憺たれ、
隠し通せぬ本性がそこに。
抗い様のない"原感情"に跪け。
偽りを抱えては、眠ることは赦さない。
あるがままの姿を、己と認めよ。
さあ、その心の内。全てに絶望しては、
我が渇きを満たさん、糧と成り果てよー!
...かくも醜き生物が。抱く幻想の果て。
砕いてはその深遠に、末期の輝きを見る。
ー餞に花束を。薔薇を添えて送ろう。
その心が最期に咲かせた花の彩をして。
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