口紅が 濃すぎたかしら
着物にすれば よかったかしら
二ヶ月前に 函館で
はぐれた人を 長崎へ
追えば一夜が 死ぬほど長い
私は港の 通よい妻
信じても ひとりになると
ぷつんと切れる ふたりの絆
たしかめあった 横浜の
桟橋はなれ 塩釜へ
向かうあなたが もう気にかかる
いつまでたっても 恋女
海猫の 声ききながら
港の宿で あなたを待てば
たずねる船は 青森にゃ
寄らずに 佐渡へ行くという
つらい知らせは 馴れっこだから
夜汽車でマフラー 編むのです
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