風に忍ぶ掠れた救難信号
鴎の影 水面 駆けてゆく
飛沫を吸って嘯く海図
腐乱した春の底 落ちてゆく
渇きを知って嗄れた救難信号
雨雲飲み 眩む 旋風
晴れ間見せずふやけた声明
己の影一つ 伸びてゆく
僕は気づいていたんだ自由なら
すでに享受した永久不動の虚しさよ
遠く離れた空想海岸信ずれど
そこに無い程に広大無辺の静けさに
ただ浮かぶだけ
もう何も見せないで一面の青で
孤独そのもののような海を漂流して
飛沫を吸って嘯く海図
腐乱した春の底 落ちてゆく
諦めてしまえ 明日には跡形もなく
観測されることもないのであれば
惜しくはない
朽ちた木片の上に立ち尽くして
炎天に膨張した大気の塊を背負って
傷に曇ったガラス瓶のような瞳でも
確かにそれが僕でないことが分かった
生臭い熱風の海馬に眠る微かな記憶よ
孤独と渇望の二重螺旋よ
導いてくれないか
たとえそれが初めから
空想であったとしても
もう何も見せないで一面の青で
孤独そのもののような海を
もう何も見せないで一面の青で
孤独そのもののような海をゆけ
永久不動の虚しさよ 漂流して
広大無辺の静けさにただ浮かぶだけ
浮かぶだけさ
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