「生まれ変われるなら鯨がいいな」
いつも窓をみつめる君の言葉
二重瞼が鈍く閉じた朝に知ったよ
世界はどこまでも薄情なんだね
沈黙する大気の底
君を攫って歩くプールサイド
月夜の水葬
宇宙を口に含んだら
魔法のかかる季節だね
もう一つ目の栓は抜いたよ
終わらない夏に
ただ渦を巻いた
♪
まるで古びた映画みたいな景色だ
僅かでも確かに水位は下がってく
君が壊れ始めるまでの日々も
音を立てながら流れてしまうみたいで
丑三つ時 夜の帳
君は笑ってくれる
プールサイド
秘密の追悼
♪
重い重い闇を背負って
細い弧を描いた
あの月がさ
鯨の目の玉みたい
カルキの匂い 目眩 寒い
胸が痛い
今 空が落ちてきた
ねえ飛沫をあげてみせて
魔法の解ける時間だよ
もうこれで全部栓は抜いたよ
僕だけを残し 空になった水槽
金色の朝の中
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