「ねぇ、もっとちゃんとしてよ。ネクタイが曲がってるよ?」
親みたいに今日も僕を コーディネートしてくれた君は言う
「遅刻しちゃうよ。」
同級生に聞かれた「二人は付き合っているの?」
「そんなんじゃない。僕らはただの幼なじみ。」
それを聞いて君は 目を赤くして泣いた
あの日は風がすごく強くて 埃でも入ったんだろうって
僕は恥ずかしくて一人 その場を後にした
あの日の翌日から君は家に来なくて
今日も渋々自分で コーディネートを始める
毎朝僕はこう言う 「もうこんな時間か。」
一人で登校してから忘れ物が増えた
占いも今日何位かわからないし なんか嫌だ
初めて抱く気持ち 声が聞きたいなぁ
学校の前で君を見つけて 久しぶりに声かけようと思ったけど
君はあいつと手を繋いで笑ってた
君が当たり前のように いつも僕の隣にいてくれた事が
幸せだったって真実に 気付くのはもう少し後の事
ずっと続いてた日常が たった一言で崩れるなんて
いつでも僕はわからずに 君を傷付けていたのかもな
そう言えば僕に初めて彼女が 出来た時君は怒ってて
どうしてかさっぱりわからなかったなぁ
でも今の僕の気持ちと あの日の君の気持ちがリンクする
やっと気付けたんだ これは恋なんだ
生まれて初めて君を呼び出し 胸の中の気持ちを吐き出した
君は「うれしい。」と泣き出した 僕の初恋は実ったんだ
「でも、もう遅いの。あたしにはもう大切な人がいるから。」
その言葉の意味をわからずに 僕はただ君を見つめていた
夏を告げる風が頬を叩く 君の涙が乾いて行く
「本当に大好きだったよ。」君はそんな言葉を
僕の耳に置いて笑って走り出す
始まりもしなかった 恋が終わった
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