いつまでも変わらない赤い信号の前立つように、
他人の目、世界の目、伺いながら、
僕の過ごす毎日が普通から外れていやしないかと、
繰り返す白と黒を見つめている。
曖昧な返事が得意になった。努力のおかげでさ。
誰かを傷つけることもない。こんな素晴らしいことはないだろう。
けれど僕のこれからのことも曖昧にしているばかりで、
伝えたい本当の想いも言えないでいるんだ。
もう敵わないと諦めたこと、謝れなかった日のこと、
嘘を吐いてしまったこと、今では数え切れないよ。
怖いくらい迫る夕焼け、染まる頬、振り向く笑顔、
綺麗だって言えれば良かった。
育った町が嫌いになった。あの夜の言葉を思い出すからさ。
望まれない自分を恥じた。少しだけ強くなれたかな。
相変わらず信号は赤。
いつか渡れるのだろうか、君のもとへ。
変われないと受け入れるにはまだ未熟な僕は、
間違いがないか分かりそうにないから立ち止まってしまうんだ。
でもそんな僕にだって明日終わりが来て、
すべて無くなって、君に会えなくて、
それならこんな今日も少し、愛おしく思えるか。
いつまでも変わらない赤い信号の前
通り過ぎるお決まり、愚痴、不満、日常の音。
それに見向きもしない群衆の視線、見下ろすはビードロ。
広がっていく無関心を模倣する。正解と信じたくて。
また思い出すよ。
不意に響いたよく聞き慣れた声のほう耳を澄ませる。
何かを必死に叫んでいる。
僕は顔を上げる。人の波を掻い潜る。
次第に大きくなる声に近づいてゆく。
白黒の向こう、泣き腫らした瞳。
「君は平気だ。」と、
「踏み出せるんだ。」と、
ああ、気付けたんだ。僕は気付けたんだ。
光は青く今、変わるよ。
手を振った未熟な僕に、成功はあるか分からない。
それでも歩き出してしまったから、
進むんだ。
いつか終わりが来て、すべて充ち足りて、
君に背を向けるその時、
こんな今日を、こんな僕を、
ただ忘れないでいてもらえるようにと、願っていよう。
願って生きるよ。
きっと求められる明日が来ると信じて。
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